前回の記事では本記事では低温調理のしくみや考え方、メリットについて紹介しました。
本記事では、低温調理の詳しいやり方を会話形式にて紹介しています。
薬剤師が教える!この先30年役立つお肉の真空低温調理法ー実践編ー!
健康マニア先輩(以下先輩):
今回は実際に真空低温調理の実践編!!具体的にやり方を紹介していくよ!
健康に興味深々な後輩ちゃん(以下後輩):
よろしくおねがいします!!真空低温調理の原理については前回のやり取りをみてね!
前回の「 仕込みは5分!超絶美味しく若返る!?お家が高級料理店になる真空低温調理とは 」より一部引用
ベースのメニューは
1.肉と塩とオリーブオイルをジップロックに入れる。味付け等はアレンジ可能。
2.真空になるように水に沈めながら(空気を抜きながら)ジップロックを閉じる。
3.低温調理器を56℃に設定し9時間経てば完成!(63.0℃ 1時間も可)
(法定加熱条件である "中心部63.0℃30分、または同等以上の殺菌" を基準に安全面を考慮)
※毒素生成後や腐敗後では当然食中毒を起こします。異臭がする場合などは廃棄するようお願いいたします。また、衛生管理が正しく行われている場合に安全が確保できる条件です。食材の取り扱い上不適切な場合などは、責任は負いかねます。
※2018/5/12の記事をレイアウトなど必要時修正しています。
■目次
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1.低温調理器の使い方
先輩:これが仕込み完了後の写真だよ!ここまで5分で完了して、あとは9時間放置で良いことは前回説明したね!
後輩:わぁ~!!これが低温調理器なんですね!火を使ってないし、鍋でもないから料理に思えません!笑
先輩:もちろん鍋を使ってもいいよ!食品が触れるわけでもないから固定できるならバケツとかでもいいかもね笑
水は蒸発して少しづつ減っていくから、ずっと使いっぱなしの場合は1日1回くらい水を入れてあげてね。
前回なんだかんだで結構詳しく話してしまったから、今回は塩の重さとオリーブオイルの量の決め方くらいだね!
せっかくだから写真を使いながら細かく手順を説明していくね!
今回は鶏胸肉を使って真空低温調理の基礎となるレシピを紹介するよ!
後輩:はい!
真空低温調理おすすめメニューレシピ1
~もちもちぷるっぷるな鶏胸肉~
手順1.お肉をジップロックに入れる
先輩:まず、鶏胸肉を用意します。
先輩:ジップロックを用意します。
先輩:手でお肉を触りなくない人はジップロックをひっくり返して手を突っ込みます。
衛生面等は前回の記事で書いたように、56.0℃で9時間以上すれば、清潔な素手で触っても全く問題ありません。
お肉を触ってベトベトになった手を洗い直すという手間が省けます。
先輩:鶏胸肉を掴みます。
先輩:裏返していたのを戻します。
先輩:重さをはかります。
先輩:...とまあ、細かく工程を説明したけど、ジップロックにお肉を入れ終わったよ!
後輩:ジップロックに入れるのは肉と塩とオリーブオイルでしたね!
ここまではほんとにお肉入れただけですね笑
先輩:そうだね!次は、お肉の重量の0.8%の塩を入れるよ!
手順2.塩を入れる
後輩:お肉の重さに対して塩の量を決めるんですね!
よく見るレシピでは塩少々とか書いてあって、少々ってどれくらいなのかわからないことが多かったんですけど、重さで決められると確実でいいですね!
先輩:そうそう!今回はお肉の重さが254gだから、その0.8%、つまり
今回は 254g × 0.008(0.8%) ≒ 2g の塩を入れるよ!
計量スプーンを持っている場合、そのスプーンで自宅の塩が何グラム(小数点以下1桁まで)はかれるか計測しておくとスムーズです。
この塩は、手前の1スプーンが1.6g、奥のスプーンが0.5gなので気持ち少なめに入れて2.0gです。(薬剤師の調剤の勘とか言う適当な言い訳笑)
暗算が苦手な方でもiPhoneのSiriやAndroidのOK Googleで、
ににひゃくごじゅうよん かける れいてんれいれいはち は
のように話しかけると答えを教えてくれます笑 料理中にスマホに触れたくない方は活用してみてください笑
後輩:お肉の重さを量って0.008を掛けた重さの塩を入れる!
これでお肉と塩を入れたから、あとはオリーブオイルだけですね!
先輩:うん!オリーブオイルは30cc程度入れてね!目的は、塩を全体に均等に行き渡らせるためと、次の作業で真空にするため。
だからここは慣れてきたら大体でもいいよ。
オリーブオイルは抗酸化作用もあり身体にいい油だから料理油の主力だよ!
手順3.オリーブオイルを入れて真空にする
後輩:オリーブオイルだばぁ~♪
先輩:入れ終わったらオリーブオイルとお肉を揉んで塩を均等に行き渡らせよう。
後輩:もみもみ♪
先輩:そうしたら次が最後の作業だよ!水槽に浸けながら空気を抜いていこう!
先輩:水槽に浸ける。
先輩:空気を抜きながら沈めていく。ジップロックの端っこ以外を閉じておいて斜めに沈めていく。
オリーブオイルがあるからきれいに抜けていくよ。そして最後に閉じる!
後輩:閉じれました!
先輩:これでほとんど真空になったね!
手順4.設定温度を確認して待つ
先輩:あとは真空低温調理器を56.0℃に設定して9時間放置するだけ!(63.0℃ 1時間も可)
後輩:本当に簡単ですね!調理始めてここまで実際3分も経ってないです!!笑
先輩:ね!やってみたらほんとにお手軽でしょ!
後輩:ホントですね!これだったら私も続けられそうです!
先輩:9時間経ったらお肉を皿に移してブラックペッパーをかければ、、、
ぷるっぷるでもっちもちしたとろける鶏胸肉の完成!!
後輩:わー!ぱちぱちぱち!
先輩:ほぼ同じ作り方で豚の肩ロースブロックに鷹の爪とブラックペッパーを入れたらこんなのもできるよ!
香ばしいかおりや見た目が欲しい人は、熱したフライパンにちょっと当てて焦げ目をつけるとなお食欲がそそられるよ!
(AGEやHCAが生成するのでお好みで)
後輩:どちらの写真も先輩の職場のデスクですね笑
こんな料理いったいどこの高級料理店から持ってきたんだろうってびっくりしたんですけど、こんなお手軽調理だったんですね!
先輩:ね!簡単だったでしょう!保存方法等については前回のやりとりを参考にしてみてね!
お肉だけで言えば温度設定は同じで良いから、同時に複数の種類の肉、ジップロックごとにいろんな味付けで作れるから大人数のイベントとかでも大活躍できるんだ!
帰省した時に実家にも器具等一式揃えて、中高時代からの友人たちを呼んでホームパーティーしたけどすごく好評だったよ!
後輩:うわ~!想像するだけで楽しそう!わたしもやりたい!!
先輩:オリーブオイルと塩の代わりに醤油 みりん 日本酒 オリゴ糖 生姜 水 等を使って豚の角煮やスペアリブなんかも作るともう絶品!!
とろっとろでジューシーなお肉の完成だよ!
後輩:じゅるり...もう我慢できません...!!(><)
先輩:こんな感じでキッチン横の小スペースにおいてるだけで邪魔にもならないから一家に一台あったらいいとおもうんだ!
案外ディスプレイの光が眩しいから夜はゆるい長靴下を上から履かせてるけど笑
後輩:かわいいですね♪ちょこんといるのでどこのご家庭にでも置けますね!
先輩:だね!お肉だけじゃなくて温度設定次第でお好みの温泉卵とかも作れるよ!
温度を精密に調整するから狙ったものを確実に作れるんだ!
後輩:ほんとに便利ですね!!
病気のリスクも下げられて老化を進める物質を減らせるすごい料理法が
まさかこんなに簡単だなんて思ってなかったです!
わたしも今日から低温調理始めて、病気知らずでいつまでも若いお肌を保ちます!!
後輩:そういえば、なんで塩の量は0.8%だったんですか?
先輩:お、いい着眼点だね。まず、ヒトの血液の浸透圧を食塩水に換算した生理食塩水は塩分濃度が0.9%なんだ。
だから人間が自然だと感じる塩分濃度は0.9%と考えることもできるんだ。
後輩:医療に関わっている人ならではの視点ですね!
先輩:塩分はちょっとでも濃すぎると塩辛く感じて、薄すぎると物足りなくなるんだ。
スープなどの場合は液体だからその考えをそのまま応用して、
塩分濃度計を使って最終的に0.8~0.9%弱の塩分濃度にすれば間違いない味になるよ!
(※育ってきた環境で多少個人差もあるようです。僕は正直薄めが好きです笑)
ただ、今回のお肉の真空低温調理では飲むわけではなくて、全体を整える味付けとしての塩だから、重さの比としては0.9%近くで、オリーブオイルの液体の部分が少ないので塩味を感じすぎないように0.8%にしてるんだ。
後輩:なるほど!そういう理由だったんですね!
先輩:お肉単体で真空低温調理をする場合はお肉の重さの0.8%塩だと覚えておくといいと思うよ!
さらに応用として、オリーブオイルの代わりに
トマトペーストとチーズとバジル等使ってピザ風にしたりすることもできるんだけど、残った液体自体をソースにする場合は、ジップロック内の全材料を含めた重量に0.8~0.9%掛けた塩の重量にするとちょうどいいよ!
全部かけずに残りをピザソースとして他の料理にも使えちゃう!
後輩:肉汁が絡んだ塩分濃度が調整されたソース、、、絶対美味しいですね!!
先輩:さっきもちょっと話したけどジップロック内の味付け材料を変えれば豚の角煮やスペアリブなんかも簡単に作れるんだ!
また今度紹介するね!
後輩:何回聞いてもじゅるり...
先輩:アレンジメニューを考えるのも楽しいよ!こんなの思いついたよ!っていうものがあればレシピやアイディアを交換しよう!
(ブログを読んでくださっている方も是非教えてください!)
後輩:既存の料理を低温調理で、楽に美味しく調理するならどうするかって考えたらいろいろ思いつきそうですね!
先輩:だね!塩分の感覚は0.1g単位で大きく味が変わるから、はじめのうちはしっかりはかることをおすすめするよ!
後輩:調剤みたいですね笑
先輩:薬剤師ってちゃんとしたレシピさえあれば料理作るのに案外向いてるんじゃないかって思うよ笑
注意点として、薄味好きという人は減塩しても良いけれど、濃い味が好みの人でも、1.0%以上の塩を入れるべきではないと思うんだ。
というのも塩には水分を引き寄せる性質があるから、摂りすぎると身体に水分を溜め込み心臓や腎臓に負担がかかったりしてしまうんだ。
後輩:そう考えると今回の2gの塩って健康面から考えるとちょっと多かったりしませんか?
先輩:お肉をお取り出した後の残りの液体やソースを全部飲んでしまったらたしかに多いかもしれないけど、
オリーブオイルに溶けたままの分の塩は捨てることになるしソースも全部は使わないから、少なくとも市販の料理や学食、外食に比べると少ないと思うよ!
後輩:それなら安心ですね!
先輩:ちなみにラーメン等は塩分濃度が1.0%を軽く超えるほど濃いんだ!
あれはあれで美味しいんだけど、なぜあれでしょっぱく感じないかと言うと、ラーメンに含まれる油が塩分をマスクして(隠して)しまってるんだ!
だから気が付かないうちに大量に塩分を摂取してしまっている可能性があるから気をつけてね!
後輩:塩辛いはずの濃度なのに油のせいで気が付かなくなっちゃってるんですね!(><) 塩分の摂りすぎには気をつけます!
2.まとめ
前回の「 仕込みは5分!超絶美味しく若返る!?お家が高級料理店になる真空低温調理とは 」より一部引用
ベースのメニューは
1. 肉と塩(肉の重量の0.8%の重さ)とオリーブオイル(30cc 慣れたら少なくてもOK)をジップロックに入れる。
味付け等はアレンジ可能。
塩とオリーブオイルの代替例:①醤油 みりん 日本酒 オリゴ糖 生姜 水 ②トマトペースト 塩 モッツアレラチーズ ブラックペッパー 等。
2. 真空になるように水に沈めながら(空気を抜きながら)ジップロックを閉じる。
3. 低温調理器を56℃に設定し9時間経てば完成!(63.0℃ 1時間も可)
(法定加熱条件である "中心部63.0℃30分、または同等以上の殺菌" を基準に安全面を考慮)
水は蒸発して少しづつ減っていくので、ずっと使いっぱなしの場合は1日1回くらい水を入れてあげてください。鍋に蓋のようなものをかぶせてもいいです。
※毒素生成後や腐敗後では当然食中毒を起こします。異臭がする場合などは廃棄するようお願いいたします。また、衛生管理が正しく行われている場合に安全が確保できる条件です。食材の取り扱い上不適切な場合などは、責任は負いかねます。
最後に
身体を若く健康に保つだけでなく、薬剤師だからこそ、薬を使わないでいいような生活が大切であると感じています。
毎日心疾患、糖尿病、癌の患者さんと接し、治療に介入するからこそ、その苦痛や治療にかかる莫大な費用を目の当たりにします。
Anovaなどの低温調理器が1台あればそれらの疾患のリスクも下げることに大きく貢献できる可能性があり、
一度高級料理店に行ったりほんの数回飲み会に行けばすぐに届く程度の値段です。
これからあなたが生きる数十年間、また、お子さんがいるのであれば100年近くは活躍する調理器具・調理方法だと思います。
なにより手軽でかつこの美味しさを知ってしまったらもう、これまでの食事には戻れないと思います!笑
自炊すれば食費も安く済みますし、料理をすること自体頭にもいい影響を与えるそうです!
3.使っている愛用品達
- 低温調理器。いつも使っているAnovaの販売ページが見つからなかったので代わりに。
- 変換アダプタ(Anovaなどの海外製品であれば日本のコンセントに対応させる必要あり)
- 真空低温調理機を入れる容器。(鍋でもいい)耐熱、洗いやすい。1品でもたくさんでも作れるちょうどいいサイズ!
- ジップロック 最強 色んな料理や保存にも
- オリーブオイル
- はかり(0.1g単位ではかれるものであればOKです!)
- 計量スプーン(一度0.1g単位ではかれる計量器で、使っている塩の重さをはかっておくと超楽です)
- 塩
- ブラックペッパー(ミルのほうが香りがいい)
4.次回予告!
次回は腸内環境を整えるために"野菜をたくさん摂ろう"シリーズ 第一弾!
身体に良い材料だけで作る、健康マヨネーズの作り方を紹介しようとおもいます!
マヨネーズといえば身体に良くないイメージをお持ちの方もいると思います。
実際、市販のマヨネーズには身体に悪い油や添加物等が大量に入っているものです。
そこで、健康なマヨネーズがないなら作ってしまえばいい!ってことで、
ジップロックだけで簡単に作れる自家製マヨネーズの作り方を紹介します!
写真のお肉に添えられてる野菜たちにも使っているものです!お手軽さを追求!
#健康マニアな薬剤師 Akitoshitokubuchi 競技ヨーヨー全日本チャンピオン